広尾ガーデンヒルズは、誰もが憧れる最高級ヴィンテージマンションです。1982年より分譲が始まり築年数も30年以上が経過した今も人気は衰えず、新築当時の価格の2倍近い値段で売りに出されています。また過去も現在も様々な有名芸能人が住んでいることでも知られ、販売当時も抽選の平均倍率が40倍を超えたことが話題となりました。また6.6haの敷地内には電信柱はなく、このような景観は都内ではほとんど見られません。
人気が衰えない理由の一つに、何十年経っても古さを感じさせない美しく斬新なデザインが挙げられます。この記事では、広尾ガーデンヒルズのデザインを中心に紹介します。
当初の構想はアメリカ式の高層マンションだった?
広尾ガーデンヒルズの最大の魅力は、マンションという人工物と自然の緑が融合した景観でしょう。6.6haもの巨大敷地は都会とは思えない豊かな自然にあふれ、建物のつくりと合わせてまるで中世ヨーロッパのようなたたずまいです。
しかしこのデザインに行き着くまで、さまざまな紆余曲折があったことはあまり知られていません。広尾ガーデンヒルズのデザインに大きく関わった人物は、デザイナーの圓堂政嘉(えんどうまさちか)で、彼がマンション群と自然をうまく調和させたことは間違いありません。しかし彼は元々アメリカ式の高層マンションを得意とするデザイナー。
広尾ガーデンヒルズが一体どのような経緯で今の姿に落ち着いたのか、早速見てみましょう。
アメリカ式の高層マンションで始動したプロジェクト
広尾ガーデンヒルズが分譲販売を開始したのが1982年、それより遥か前の1974年には広尾ガーデンヒルズのプロジェクトが動き始めていました。当初から圓堂政嘉は建設のメインデザイナーの一人としてプロジェクトに参加します。
圓堂政嘉はアメリカ様式の建物をデザインすることが得意で、広尾ガーデンヒルズに関わる前の建築デザインの多くがアメリカ式のデザインでした。ただ彼は、ヨーロッパ式の建築が嫌いだったわけではなく、フランス建築の権威とも言われた中村順平に師事していたこともあり、ヨーロッパの建築にも関心があったと言えるでしょう。
彼はそれまでの経験から、広尾ガーデンヒルズのプロジェクトに参加した当初はアメリカ式のデザインを提案します。当初は「4棟からなる超高層マンション」という案で企画が進められていたので、高級高層マンションが多いアメリカ風のデザインをイメージしていたのです。
しかし、現在では当たり前になっている高層マンションですが、70年代という時代において超高層マンションを作ることは容易ではありませんでした。またさまざまな問題点が出てきたことにより、現在の広尾ガーデンヒルズである全15棟のマンション群となる構想へと話が進んでいきました。
その結果、「超高層マンションを建てる」という当初の希望は、変更せざるを得なくなるのです。
アメリカンからヨーロピアンへ
NYのような高層ビル群を思い描いていた圓堂政嘉がデザイン変更を余儀なくされ、頭に浮かんだのがヨーロッパの街並みでした。圓堂政嘉自身は、自身がロンドンに旅行に行ったとき、アメリカとはまるで違う歴史あるロンドンの建築を見て感動したことを思い出し、そこから「広尾ガーデンヒルズ」の街の構想は変わっていきます。
実際にそれまではアメリカ建築一色だった圓堂政嘉は、広尾ガーデンヒルズの建設以降はヨーロッパのテイストを取り入れた建築を複数造っていることから、彼にとって広尾ガーデンヒルズが大きな転換期になった様子がうかがえますね。
その圓堂政嘉がデザインに大きく関わったのが、イーストヒルです。イーストヒルは1983年8月から1984年9月に竣工された最初のヒルでした。だからこそこのイーストヒルのデザインは、他のヒルと比べてとりわけヨーロッパの雰囲気が感じられるのです。
ブロックのように各戸が縦一列に飛び出ているデザインと色味、ガラスの雰囲気までロンドン建築のデザインにとても似ています。
また圓堂政嘉は、ロンドンのデザインを参考にしただけでなく、並木道の木々についても計算していたのではないかと言われています。イーストヒルだけ自然の中にマンションが溶け込んでいて調和が取られている雰囲気です。
このデザイン性の高さも広尾ガーデンヒルズがヴィンテージマンションの代表格として君臨している理由のひとつになっているのでしょう。
広尾は子育てしやすい街:周辺の幼稚園情報
ここまで圓堂政嘉によるデザインの話をしてきましたが、ここからは広尾ガーデンヒルズが子育てに良いとして人気が高い理由と、広尾の幼稚園について紹介します。
広尾ガーデンヒルズはファミリー層に人気が高い
広尾ガーデンヒルズの各戸の間取りは、1LDK〜4LDKが主流となっています。もちろん一人暮らしやカップルにも最適な部屋もありますが、多いのはファミリー層です。どのヒルでもファミリーに人気が高くなっていますが、サウスヒルやノースヒルは特にファミリーが住みやすいと言えるでしょう。
サウスヒルは、24時間警備員が常駐しておりセキュリティは万全。そしてノースヒルは、4LDKなどの大きな間取りの部屋が多いため子育て世代にぴったりなつくりです。また、公園に直結しているため自然も多いのがファミリーに人気の理由になっています。
広尾周辺の幼稚園
広尾は教育にも最適な街で、多くの有名人を輩出する男子御三家の麻布学園、都内で最高の受験者数を誇る広尾学園など、様々な人気校が多いことでも知られています。またもっと低年齢層に目を向けると、「幼稚園御三家」とも呼ばれる名門幼稚園のうちの二つ、愛育幼稚園と若葉会幼稚園があります。
幼稚園御三家の卒業生の多くは慶應幼稚舎や他の大学付属などの人気校に進学するため、小学校受験のためのお教室もたくさん。
さらには外国人の居住率の高さから、小さなうちから英語を学べる環境も日本一充実していると言っても過言ではありません。このようなことから教育を重視する親御さんにとって広尾とは、最適な場所ともいえます。