広尾ガーデンヒルズは全15棟、全1,181戸からなる巨大なマンション群です。開発は三井不動産、住友不動産、三菱地所、第一生命保険の4社、施工も清水建設、鹿島建設、大成建設、大林組、三井建設、三菱建設が共同で行った事業プロジェクトで、1982年に販売された当初から爆発的な人気を誇りました。
6.6haの敷地内には電信柱はなく、このような景観は東京都内ではほとんど見られません。販売当時から高級指向だった広尾ガーデンヒルズが、バブル期を経てどのように価格変動していき、現在はどの程度の価格で販売されているのか紹介します。
新築時やバブル前の価格
広尾ガーデンヒルズは、1982年に分譲の販売が開始されました。新築時の販売価格は、間取りや大きさによって大きく値段が違い、8000万円〜4.9億円程度。1億円前後で販売している物件が多くありました。
様々な日本を代表する財閥が手を組んだこの一大プロジェクトは、販売当初から大きな話題と人気呼びました。購入するためには抽選となりましたが各部屋の平均倍率が40.8倍。また最高倍率は209倍だったと言われています。
新築時には100万円/㎡程度でしたが、80年代後半から91年までに起こったバブル景気に向けて価値がどんどん上がっていきます。最終的には100万円/㎡程度だった価値が、バブル時には900万円/㎡程度まで跳ね上がりました。いくらバブル期とは言え、たった数年ですさまじい値上がりの仕方ですね。
バブル後から現在の価格
1991年のバブルの崩壊は広尾ガーデンヒルズにも大きなダメージを与え、一時900万円/㎡まで跳ね上がった価値が一気に暴落してしまいます。
しかし広尾ガーデンヒルズはバブル崩壊後も高い人気を誇り、一旦は落ち着いたもののまた価値が上昇していきます。時代に左右されないデザインや立地などから広尾ガーデンヒルズの人気は、販売当時から今までほとんど変わりません。
2008年のリーマンショックの影響もありましたが、2019年現在では200万円/㎡程度で取引されている物件もあります。つまり築年数が40年近くなっているにも関わらず、販売当時の2倍の価格で売りに出されているのです。日本中を見渡しても、これだけ価値が認められるマンションは他にはないでしょう。
特にサウスヒルとセンターヒルの価値は高く、売りに出されることが少ないヒルでもありますよ。
人気の秘訣は立地の良さと都会とは思えない環境の良さ
広尾ガーデンヒルズは、さまざまな理由から人気を獲得しているヴィンテージマンションです。六本木も徒歩圏という立地、大使館が多い高級感あふれる街並み、近隣には有名な有栖川記念公園や公立図書館としては最大級の蔵書を誇る(約200万冊)都立中央図書館もあります。
そのような立地にありながら、まるで森を思わせるような豊かな緑に囲まれ、さらにはどのヒルからもアクセスの良いセンターエリアにスーパーやクリニックを構えています。
広尾ガーデンヒルズの一番の特徴的であり魅力は、「自然と一体化した、一つの街並み」のようなマンション群だということです。
現在ではタワーマンションが高級マンションというイメージがありますよね。しかしバブル前の80年代は自然と共存し一つの街を作り上げているようなマンションこそが憧れで、その始まりでもあり象徴とも言えるのがこの広尾ガーデンヒルズなのです。
広尾ガーデンヒルズは5つのヒルごとに異なる豊かな緑が最大の特徴です。ガーデンヒルズの中心を通るケヤキ並木は四季折々で表情を変え、季節の訪れを知らせてくれると共に、一年中住む人に癒しを与えてくれます。
またノースヒルは広尾北公園に直結し、広尾ガーデンヒルズの中でも最も自然豊かなヒルです。緑の多さや公園、大きい間取りからファミリーに向いているヒルとして人気です。
芸術の街でもある広尾
ここ広尾は全てが高級住宅街と言っても過言ではなく、さらに都内屈指の有名進学校や大使館による警備などから安心できる街であることも人気の理由です。そして、住民の文化的意識の高さからか美術館や画廊が多いことも魅力です。
・森美術館
六本木ヒルズの最上階にあるのが森美術館です。多くの人が来場するだけでなく、人々の興味を引くような展示を開催していることが森美術館の魅力でもあります。
古典的な美術館は、芸術が好きな人のために開催していることが多いのですが、森美術館は、芸術や美術に興味がない人でも見にいきたくなるような展示やイベントを開催しています。休日には森美術館に入るために数十分待つことがあるほど人気が高いです。
・山種美術館
山種美術館は、渋谷区広尾にある日本画を専門とする美術館です。「美術を通じて社会、特に文化のために貢献したい」と、山崎種二により創立されました。1966年に開館し、全国で初めての日本画専門の美術館です。
日本画は四季それぞれの質感を自然の素材で描いていて、日本の美意識が反映されています。そのような日本画の魅力を伝えるため、半世紀に渡って収集・研究・公開・普及に尽力しています。また美術館の外観が特徴的な幾何学造形で美しいです。
・エマーユ七宝美術館
エマーユ七宝美術館(EMAUX MUSEUM)は、創立者の梶光夫によるエマーユのコレクションを展示しています。エマーユとはエナメル七宝のことで、七宝とは伝統的な金属工芸の一つです。
透き通った美しいエマーユは、古代より宝石と同じくらい価値があるものとされ、現在まで重宝されてきました。エマーユ七宝美術館は、日本で唯一のエマーユ専門美術館ということで、興味深い展示を見ることができます。
週末は広尾ガーデンヒルズから一歩外に出て、これらの美術館を巡るなんていうのも素敵ですね。