中古マンションを購入する際、多くの人がローンを組むと思います。皆さん、ローンを組んで毎月の返済額が確定すれば月々の費用は目途がつく、と思っていませんか?中古マンションの購入でポイントとなるのが「修繕積立金」と「管理費」。この2つをしっかり計算に入れておかないと、人生設計が大きく狂ってしまうかもしれませんよ。
1.中古マンション購入で発生する月々の費用とは
住宅ローンの金利が史上最低水準で推移し続けていることもあり、中古マンションの購入を検討している人も多いのではないでしょうか?金融機関の審査が通りローンが組めれば、毎月の返済額は確定します。その金額を見て、「月々これくらいの支払いで住めるのか…」と思うかもしれませんが、それでは失敗してしまいます。
中古マンションを購入すると必ず発生するのが修繕積立金と、管理費。
すなわち、中古マンション購入後、月々の支払いは「ローン返済額+修繕積立金+管理費」となるのです。
(※マンションによっては「共益費」も必要になるケースもあります)
2.修繕積立金とは
マンションでは、建物のうちの共用部分の傷みや劣化を防ぎ維持・修繕するために「大規模修繕」などを定期的に行わなければなりません。その際に必要となる資金をまかなうため、毎月居住者から徴収して積み立てておくお金が「修繕積立金」です。
それは新築マンションはもちろん、中古マンション購入でも同じこと。物件にもよりますが、大規模修繕工事は10から15年に一度のペースで行われます。
毎月発生する安くはないお金のため、中古マンション購入における大きなポイントの一つといえるでしょう。
3.管理費とは
中古マンションを購入し実際に暮らし始めると、意外と「共有スペース」が多いことが分かると思います。廊下・ゴミ置き場・エントランス・エレベーター・駐車場・駐輪場は一般的ですが、近年のマンションならジムやフィットネススペース、パーティールーム、ゲストルームなどもあるかもしれません。こういった場所の掃除やメンテナンスのために必要な費用が「管理費」です。
こちらも基本的に毎月居住者から徴収されます。そしてこの管理費も決して安くはなく、かつ毎月発生します。中古マンション購入を検討している方は、これも頭に入れておいてくださいね。
4.修繕積立金と管理費の相場は?
国土交通省が定期的に行っている調査の一つに「マンション総合調査」というものがあります。このマンション総合調査の2013年度版によりますと、2013年の修繕積立金の平均額は1ヶ月10,783円、管理費の平均額は1ヶ月10,661円となっています。これは、月々のローン返済額以外に毎月21,444円の支払いが発生する、ということを意味します。決して安くはないですよね?
中古マンションを購入してローンを組み、月々の返済がわかった段階で、「今までの家賃とほとんど変わらない!」と早合点する人が多いのですが、注意が必要です。
修繕積立金と管理費が中古マンション購入において大きなポイントになる、という意味がお分かりいただけると思います。
5.修繕積立金と管理費のさらなる落とし穴とは…?
国土交通省の「マンション総合調査」では、過去のデータも見ることができます。例えば1999年度の修繕積立金の相場を見てみますと平均額は7,378円。14年で3,405円値上がりしています。これはかなり大きな値上がりです。ちなみに管理費も上がってはいますがこちらはほぼ人件費の上昇分で小幅といえます。
では、なぜ修繕積立金は大きく値上がりしているのでしょうか?下記に書くように理由は様々です。
・分譲時に価格を低く抑えるためにあえて安く設定したから
・当初の予想以上に建物の劣化が進んだから
・人口減少による人手不足で人件費が想定以上に高騰したから
ただ、いずれにしても「修繕積立金は(管理費もそれなりに)値上がりしていく」可能性は高いので、そこも踏まえて中古マンション購入の資金計画を立てるようにしましょう。
6.修繕積立金の広さによる適正相場は?
国土交通省の「マンション総合調査」では、実際に個々のマンションがどの程度の修繕積立金を徴収しているのかを知ることができます。そのデータによりますと2013年時点での相場価格は1㎡あたり月149円です。70㎡のマンションで10,430円となります。
中古マンション購入時のポイントとして、修繕積立金はこの10,430円を一つの目安にされるといいかもしれませんね。
まとめ
中古のマンションを購入すると、毎月の支払いはローン返済額のほかに「修繕積立金」と「管理費」が発生します。そして、これらは将来値上がりしていく可能性が高い、ということもご理解いただけたと思います。
中古のマンションを購入する際、値段や立地や方角、周辺環境など、検討するポイントはたくさんありますが、決して見落としてはならないのが「修繕積立金」と「管理費」です。年間数十万の出費となりますので、将来設計に影響を与えないよう、中古マンション購入時にしっかりと吟味してくださいね。