アジア不動産ガイド
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【フィリピン】不動産の買い方 ~コンドミニアム購入の手順や流れ・物件選びのポイント~
近年フィリピン不動産は経済発展や人口増加などの観点から、高い利益が見込める可能性を有しています。海外の不動産投資を検討するにあたり、フィリピンを選択肢の1つとしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。ただ、フィリピンをはじめとした海外の不動産購入では国内とは異なる点も多く注意が必要です。本記事では、フィリピン不動産投資の際に物件を購入するための手順や、手続きでの様々なポイントを分かりやすく解説します。
フィリピンの法律では、フィリピン国籍を持つ人・フィリピン法人の企業のみが土地購入が可能であると定められています。外国人がフィリピンの土地を購入して不動産投資をする際は、フィリピンに法人を設立する必要があります。その際には60%以上の資本をフィリピン国籍を有する個人か法人が保有する必要があり、違法行為が発覚した際には刑事罰が課せられます。
ただ、土地の所有権と建物の所有権は切り離すことができるため、住宅などは外国人であっても購入することが可能です。住宅などの建物を購入する際、土地は借地権となるのですが、土地の賃借期間は原則25年(登録により50年まで延長可能)+25年の更新となります。
こうした背景もあって、日本人投資家にはコンドミニアムの購入が一般的となっています。コンドミニアムにはコンドミニアム権利証(Condominium Certificate of Title)が発行されますし、タウンハウスの場合は固定資産税の申告書等が所有権の証明として活用できます。
見分けにくいコンドミニアムとタウンハウスの違いについて解説します。
コンドミニアム:分譲タイプの集合住宅のことで、日本の分譲マンションとほぼ同じ意味で使われます。
タウンハウス:連棟式低層集合住宅と呼ばれ、同じ敷地内に長屋(2階建)を作り、庭が公園のように使われる集合住宅のことを指す。
人口増加によってコンドミニアムの需要が高まり、建設ラッシュとなっているため、供給過多になってしまうリスクがあります。フィリピンだけではなく、東南アジアでは同様に供給過多が懸念されているため注意しましょう。そのようなリスクの回避案として、ホテルへの投資も選択肢の1つです。フィリピンではセブ島などのリゾート地が多数あり、観光客に大人気となっています。そうした事情から、ホテル需要が減る可能性は低いと予想されています。
ここからは、フィリピンでコンドミニアムを購入する手順をポイントごとに解説します。
フィリピン不動産投資では、マニラなどの首都圏やセブ島をはじめとした南部のリゾート地などが選択肢となります。エリア選定を入念に行うことで運用戦略とのズレが生じず、空室による投資失敗を防ぐことが可能です。エリアの特徴や運用のノウハウを細かくエージェントに確認しましょう。また、首都圏以外の地域にあるコンドミニアムは、値動きが比較的確緩やかとなります。そのため、物件価格が大きく変わるリスクは少ないと言えるでしょう。
マニラ:都市開発が盛んな首都であり人口が集中。コンドミニアムは物件価格が変動しやすい点がリスクとなる。発展がこれから見込まれるエリアと開発済のエリアでは入居者層が異なる。
セブ島:マクタン・セブ国際空港付近の物件が多いが、セブシティエリアとマクタン島内のエリアで地域色に差がある。賃貸需要の見極めが重要であり、賃貸運用向きのエリアとホテル運用向きエリアが混在している。
海外の不動産投資においては、現地の不動産事情に精通、多くの販売実績がある信頼のおけるエージェントを見つけることが重要です。海外の不動産投資を扱う日本の不動産会社の場合、遠隔で現地のエージェントを使う会社もあるのが現状です。国内の会社に依頼する際にも、現地に拠点がある会社を選ぶようにしましょう。
リスト サザビーズ インターナショナル リアルティでは、フィリピン現地にオフィスを構え、日本人スタッフが駐在しております。日本語・英語・現地語に対応し、お客様のフィリピン不動産購入をサポートいたします。
不動産エージェントから候補となる物件の情報を得て、選択肢の中から絞り込みを行います。その際、家賃保証つき物件については「設定家賃の根拠」をしっかりとエージェントに質問しましょう。海外の不動産投資の設定家賃は高めに見積りがされている場合もありますので、保証家賃が受け取れないといったトラブルを防ぐために確認が大切となります。
フィリピンで投資用として販売されている高級コンドミニアムは設定家賃が高く、入居者層が限られます。購入した物件のあるエリアに富裕層や海外駐在員などが少ないと、空室が続きで投資失敗となることもあります。物件の価格やグレード、入居者層の予測が適切かどうか、あらかじめ確認しておくこともポイントです。
フィリピン不動産投資では、「プレビルド」という建設が途中のコンドミニアムを購入した時に、工事が途中でストップし、物件が引き渡されなかったという事例も生じています。その場合、大半のケースで支払い済みの資金が返金されていないのです。建設が途中でストップしてしまう原因には、売れ行き不振、売主の経営体力不足などが挙げられます。購入するコンドミニアムを決める前に、対象物件の売れ行き、売主の分譲実績などをチェックしましょう。
購入したいコンドミニアムが決まったら、物件購入の申し込みを行いましょう。申し込みが済み次第、売買契約書など必要書類の署名を進めることになります。フィリピン不動産の売買契約書は全文が英語で書かれており、英文に慣れていないと内容の把握が難しいことも。売買契約書はキャンセル条項、物件引き渡しがされない場合の対応といった重要事項が記載されているので、少しでも疑問点があればプロであるエージェントに確認しましょう。
購入申し込みの際に購入予約金(手付金)が必要な場合は、支払いを同時進行で進めましょう。日本から海外の不動産を購入するためには海外送金が必要ですが、銀行によっては海外送金の手続きを断られてしまうケースもあります。スムーズに送金完了するためには事前に銀行へ確認をするとともに、支払いスケジュールを把握し、余裕を持って対応しましょう。また、海外への送金は着金に最低1日以上かかります。売主が着金確認するために送金手続き完了の証憑を提出する場合もあります。
購入代金の支払いが一括支払ではない場合、竣工時に残額を支払うことになります。また、ローンを利用するケースでは、売買契約書にサインした後にローンの申し込みを行います。その際、融資額はいつ振り込まれるのか確認することが大切です。
売主側による資金の着金確認後、物件の引き渡し・物件所有権の登記手続きを開始します。物件完成通知の発行後、お部屋のデェフェクトチェック(瑕疵チェック)も行います。また、東南アジアの賃貸住宅は家具家電が備え付けとなっていることが一般的です。そのため、引き渡し後に家具家電の手配が必要になるため、売主やエージェントに相談しましょう。さらに、登記手続きの完了時期がいつ頃なのか確認することも大切です。フィリピンも日本同様、登記済証が物件所有権の証明となるため忘れずに行いましょう。
フィリピン不動産投資では土地購入のハードルが高いため、分譲マンションのようなコンドミニアムがおすすめです。その際、外国人や富裕層の需要が安定して高いエリアを選ぶなど需要の見極めが重要となります。また、トラブルに巻き込まれないために売買契約書の内容を把握し、建設がストップした場合の返金対応などをあらかじめ把握し、不明点があれば売主やエージェントに確認しておくことが大切です。