アジア不動産ガイド
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【マレーシア】不動産の買い方~物件購入の流れと、規制や特徴~
安定した経済発展と割安な不動産価格で人気のあるマレーシア。多民族・多文化社会で、外国人を歓迎してくれる国でもあります。不動産市場にも特徴が表れており、外国人の不動産所有に対しては比較的寛容です。規制が厳しすぎないイメージのあるマレーシアですが、不動産を購入する際にはいくつか知っておかなければいけないポイントがあります。本記事では、マレーシアで不動産を購入するルールや、5つに分けた購入手順を解説します。
マレーシア連邦政府によって、外国人が購入できる物件は原則60万リンギット以上のものに限定されています。ただ、自治権は各州政府が持っているため、州によって最低購入価格が異なります。クアラルンプールを含む3連邦直轄領は、原則の60万リンギット以上が購入条件です。
外国人が物件を購入する場合は、物件エリアの行政から取得許可をもらわなければなりません。手数料は約3万円かかり、2~3ヵ月程度で許可証がもらえます。ただし、長期滞在ビザ(MM2H)を持っている場合はこの申請をする必要はありません。
MM2Hは、マレーシアと国交のある国の人なら年齢制限なく誰でも取得できる長期滞在ビザです。最長10年間滞在でき、更新もできます。出入国自由で、滞在していなくても問題ありません。
MM2Hを保有していると、物件購入の際にもメリットがあります。例えば、一部の州では物件の最低購入価格が緩和されたり、物件購入時に住宅ローンの融資限度額が引き上げられたりする可能性があります。また、現地で銀行口座を開設することができるため、ローン返済時の海外送金や手数料の心配がなくなります。マレーシア国内銀行は日本に比べると利率がかなり高く、金利が非課税扱いであるところも魅力です。
多くの東南アジア主要国で外国人の「土地付き物件」の購入が認められていない中、マレーシアでは購入することが可能です。外国人にとってはまさに開かれた不動産市場といえるマレーシアですが、外国人が購入できない物件もあります。
外国人に対する最低購入価格の規定により、州政府が定めた低価格や中価格など手頃な価格の物件は当然ながら購入できません。また、マレーシアの保有地に建てられた物件や、マレー人優先政策によって定められた物件や土地なども購入不可となっています。
日本では法律で仲介手数料の上限が定められており、売主と買主から受領することができます。しかしマレーシアでは上限が定められておらず、商習慣に従って売主のみが負担することが多いです。買主は仲介手数料を支払わないケースもあります。しかし現地の不動産エージェントを利用した場合には、売主に優位な取引となってしまったり、後に高い手数料を請求されてしまったりする可能性もあるので気をつけましょう。日本人の場合は、日本側で購入サポートサービスが充実している日本企業に任せる方が多いです。手数料はかかりますが慣れない海外不動産では専門化に依頼をして取引の安全性を求めるのがベターです。
日本では不動産会社に不動産売買の契約や手続きをしてもらいますが、マレーシアでは専門弁護士がおこないます。法律などの専門知識が豊富な弁護士に任せられて安心感がある点は、マレーシア不動産売買の強みといえるでしょう。
外国人がマレーシアで不動産を購入するための5つの手順を解説します。最初に必要となるのが不動産のエージェント探しですが、事前に希望のエリアや予算、間取りや物件周辺のこだわり、新築か中古かなどをあらかじめ明確にしておくと、問い合わせ後の流れがスムーズなのでおすすめですよ。
まずは、物件の情報を提供してもらえる不動産エージェントを探します。マレーシアでの物件購入に慣れていないようであれば、現地人エージェントではなく日系の不動産会社を選ぶのがおすすめです。日本語で対応してもらえる上に、現地の詳細情報にも精通しています。予算や希望をもしっかりと伝えることができるので、安心して物事が進められるでしょう。
エージェントの協力のもと希望の物件が見つかったら、可能な限り現地を訪れて実際に物件を見学すると安心です。訪れるのが難しい場合はエージェントに詳しく教えてもらうこともできますが、自身の目で確かめることをおすすめします。街の雰囲気や物件周辺の環境など、エージェントやネットから得られる情報以上のことを把握することができます。
マレーシアは日本から7時間ほどなので、週末を利用するなど比較的計画が立てやすいですよ。
買いたい物件が決まったら、エージェントを通じて購入の申し込みをします。申込書の記入と申込金(購入予約金)の支払いが必要です。申込金額は物件により異なりますが、だいたい物件価格の1~3%程度です。
申し込みが済んだら、売買契約書へのサインと手付金の支払いをします。売買契約をする上で専門弁護士の選定をおこないますが、弁護士についてはエージェントに提案を求めましょう。手付金額は、一般的には物件価格の10%です。この10%には申込金も当てはまるので、指定された手付金額から払い済みの申込金を引いた残額を頭金として支払うことになります。
住宅ローンを利用して購入したい場合は、その手配もします。ローンを組む場合は審査が通ってから正式な契約締結となりますが、もし審査落ちしてしまった場合に手付金が返金されるかも要チェックです。一般的には返金されますが、手付金を支払う前に事前に確認しておくことで万一のトラブルを防止できます。
売買契約が成立したら、購入する物件のエリアを管轄する州政府へ譲渡許可の申請をします。この申請は現地の弁護士がおこない、承認されるまで約3~6ヵ月程度かかります。購入する物件が1件のみの場合は、基本的に承認拒否の心配はほとんどありません。
中古物件や完成済み新築物件の場合は、州政府の承認許可が下りたら残りの残金を一括で支払います。3ヵ月以内に支払わないと、延滞料金などの発生や、最悪の場合には売買不成立の可能性があるので注意しましょう。未完成の新築物件の場合は、工事の進捗に合わせて段階的に残金を支払います。
住宅ローンを利用して払う場合は、自己資金分から先に支払い、自己資金分を超えたら住宅ローン利用銀行が代わりに支払います。以降は、支払期日に合わせてローンの支払いをおこないます。
残金支払い後、移転登記の手続きをおこない、物件と鍵の引き渡しを受けます。未完成の新築物件の場合は、引き渡しまでに数ヵ月かかる場合があります。完成したら、仕上がりや初期不良などをしっかりと確認しましょう。
マレーシアで不動産を購入する際は、最低購入価格の規制に注意しましょう。各州によって最低購入価格に変動があるので、希望の物件エリアの情報を正確に把握しておくことが大切です。物件の買い方は日本と違う点が多いため、エージェント選びも重要なポイントです。信頼できるエージェントを見つけて、納得できる不動産購入をしましょう。